みなさんは部下たちの主体性を養えていますか?
質問を変えます。
みなさん自身は主体的に行動できていますか?
本日はサーバントリーダーシップの落とし穴というテーマで、部下の主体性と上司のガバナンスについて解説していきたいと思います。
主体性とは?
主体性とは?
他人の意志や判断によって行動を起こすのではなく、自分の意志に基づいて行動をするさまのこと
例えば、とあるコンビニでアルバイトをしているAさん。ただただ店長の指示、店の決まり事に従ってトイレ清掃をするのではなく、どの時間帯にトイレが頻繁に利用される傾向があるか自ら調べ、清掃の時間や回数を変更することを店長や仲間に提案した。結果的に『清掃中でトイレが使用できない』や『いつも汚い』などのお客様からのクレームを減らすことができた。
Aさんは主体的に行動ができています。
私のnoteでも下記のように主体性の重要さを明記しています。
戦時中は『食べ物が重要視された時代』だった。高度成長期の日本は『お金が重要視された時代』だった。その後、重要視することは物質的なものから、精神的なものへと変わっていき、今は『自分の存在や、心が重要視される時代』になりつつあります。ただただ上司の命令に従って仕事をして給料をもらうだけではなく、組織内で自分がどうしたいか、どう在りたいか、どうなりたいかを考えるようになりました。『自ら考えて行動すること』や『行動の先に待っている成長』や『自己実現』に価値を見出している今、リーダーがそれをサポートする側に回ることで、1人1人の力を最大限に発揮させることができるのです。
サーバントリーダーシップが輝くマネジメント術【部下の導き方】
サーバントリーダーシップではリーダー自らの考えを一方的に落とし込むのではなく、部下一人ひとりの考えや行動を尊重することを大切にし、サポート(奉仕・支援)することで、チームで最大限の結果を導き出します。
ガバナンスとは?
ガバナンスとは?
統治、統制、支配、管理のこと
リーダーは意識せずとも自然とガバナンスを発揮しています。
分かりやすい例を挙げるとすれば、組織のミッションを指し示したり、ルールを守らせるように指導したり、新しいチャレンジに関して説明を繰り返したり。統制が取れているチームは、組織として正常に機能している状態です。
ではガバナンスが行き届いていないチームはどうなるか?
ガバナンスが行き届いていないチームは、よく言われる報連相ができていなかったり、上司の指示を無視してしまう部下がいたり、チーム内で決められたルールが守られていなかったり、組織のミッション(目的)がぶれていたりします。もちろんそうなってしまっては組織として正常に機能しません。
言い方を変えると、ガバナンスが行き届いていない統制が取れていないチームは、『リーダーの存在感が薄い』とも言えます。
主体性とガバナンス
部下の主体性が養われることにより、アイデア量は何倍にも膨れ上がり、チームの主役がリーダーではなくなり、仕事にやりがいが生まれ、モチベーションが向上していきます。
しかしここで落とし穴があります。それは、部下の主体性が養われることでリーダーの存在感が薄くなりすぎてしまい、主体性という表現を超えて、自分勝手な行動をしてしまう部下が現れる可能性があります。主体性とは『他人の意志や判断によって行動を起こすのではなく、自分の意志に基づいて行動をするさまのこと』ですが、なんでも自分のやりたいようにやることが主体性ではありません。そこには必ずリーダーがいて、最終的な意思決定はリーダーにあります。
サーバントリーダーシップは支援(奉仕)型リーダーとして有名ですが、『部下任せリーダー』ではありません。リーダーはチームを正常に機能させるためにガバナンスを発揮し続けなければいけません。つまり、部下の主体性を尊重しながら、自らリーダーとしてガバナンスも強く意識しなければいけないのです。
ガバナンスを強めすぎてしまっては、部下は委縮して主体性が発揮されない。逆にガバナンスを弱めすぎてしまっては、部下の主導権が強くなりチームの機能が失われる。
失敗実例
私はある日作業チームのMgrとして、とある改善を思いつきました。
しかしその改善にはいくつか問題点もありました。
私はすぐに答えを導き出すのではなく、サーバントリーダーシップの特性の1つである『気づき』を発揮し、朝礼で部下たちにヒントを与えました。
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首を縦に振って頷く部下たち。
私のアイデアは斬新だったため、部下たちからその場で意見が出ることはなく、その日の朝礼は終わりました。
1ヵ月後
月に1回の現場作業日。
私は部下の働きぶりを見るために、改善の機会を探すために、問題がないか点検するために、必ず月に1回現場に入るようにしています。
私は2連休明けに出勤して現場に向かうと、部下の一人が朝一番の朝礼でこんなことを言いました。

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いつも積極的に意見を言ってくれる一人の部下が、私がいない間に私からのヒントを思い出し、発案をして、周りのメンバーに話をして、実際にアクションを起こすところまで進めていたようです。
主体的に行動している部下に私は心が躍りました。
私は知らないですよ。

別の部下が口を開きました。

私の脳内にビビっと電気が走ったのが自分で分かりました。
口を開いたのは私と同じく2日間連休だった部下。
つまり発案した部下は、メンバー全員に説明をしないままテストを開始していたのです。
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朝礼後
別な場所で2人きりになった私と発案者。
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一昨日思いついたことで、一昨日と昨日いた人には説明をして始めています。

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運行管理者の人には相談をしましたか?
昨日もテストしてみましたが特に何も言われていないので、つまりは問題ないということではないですか?

発案者との会話は続き、話せば話すほど、部下の自分勝手な行動が浮き彫りになってきました。
発案者の部下はMgrである私に相談をせず、メンバー全員に説明せず、理解納得を得ず、行動を起こしていました。またそれだけではなく、チーム外で今回の改善に関わる人たちにも相談、事前説明をしていなかったのです。
サーバントリーダーシップの落とし穴
今回のポイントは、作業Mgrとしてのガッキーのガバナンスが弱まっていたことです。
言い訳になってしまいますが、私が現場に改善のヒントを与えて1ヵ月間何も動きがなかった理由は、私が結婚休暇を取得して10日間不在だったこと。今回の改善は越えなければいけない壁(課題)が多かったこと。巻き込む人が多く、進みが遅く難航していたこと。輸送Mgrとしての業務に比重を置かざるを得ない状況で、作業チームのマネジメントにあまり手をかけられないでいたことが理由にありました。
私がもっと現場に顔を出し、与えたヒントに関して更にヒントを与えたり、意見交換をしたり、草案を作って提示したり、改善内容をリーダーとして取りまとめて進めることができていれば、絶対に結果は違ったでしょう。
『部下任せ』にしてはいけないことを分かっていながら、『部下任せ』になっていた。
リーダーとしてここぞという時にガバナンスを強化せず、部下の主体性を正しい形で発揮させられなかったのは私の責任でした。
部下の主体性を養うことができれば、リーダー1人の考えが尊重されるようなチームよりもより良い結果を得られます。モチベーションも向上し、常に高いレベルで業務を遂行できるでしょう。しかし、それを狙いすぎて部下を自由に、野放しにしてしまうことは、せっかく発揮された主体性を殺してしまう可能性が高まります。
リーダーは上司として部下の主体性を尊重しながら、リーダーの役割を常に忘れずガバナンスを発揮してチームの統制をしましょう。主体的に行動をし始めた部下をサポートして、正しく主体性を発揮させましょう。