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相手の心に傷をつけないために【伝えるべき言葉を心の中から選ぶ力】

言葉で誤解が生じて、相手の心を傷つけてしまうことなんて、私たち人間の心が共通でない以上、物事や言葉の捉え方が共通でない以上、どんなに経験の豊富な優秀なリーダーでも、どんなに人生経験豊富な人でもある話です。 私たちは心の内にある思いを全ては言葉にしません。一言で伝える時もあれば、言葉と言葉を紡いでたくさんの思いを表に出すこともある。つまり、自分が思う『相手に必要であろう部分』だけを言葉にして伝える。その『必要であろう部分』を事前に全て分かる人なんてこの世には1人もいない。その答えは相手が持っているから。

今回の記事は、私が1人の女性の部下の心を傷つけて、泣かせてしまった実体験です。Mgrであるガッキー、現場リーダー、女性の部下、登場する3人がそれぞれ選んだ『相手に必要であろう部分』が足りず、誤解が生じてしまいました。この記事を読めば、伝えることの難しさを理解でき、『どんなに優秀なリーダーでも、どんなに人生経験豊富な人でも、人の心を傷つけてしまうことがある』ということを分かっていただけると思います。そして最後に、相手の心に傷をつけないために私たちがすべきことが分かります。

15日の朝

朝の事務所にて。

ガッキー
シフト作成の時期になりました。23日までにスケジュール登録をしなければいけないので、20日までにリーダーがとりまとめて私に提出してください。
分かりました。早速、年次希望があるかどうか聞き取りを始めます。
リーダー
ガッキー
そういえば先日、年次の残日数の表を渡しましたが、メンバー全員に伝えていただけましたか?

法律で年間5日以上の取得が義務になったことで、私は年次の取得状況には敏感になっていました。

はい。伝えました。
リーダー
ガッキー
10月、11月、12月、1月、2月。

まだあと5ヵ月ありますから、少ない人もたくさんある人も計画的に取得していきましょう。

20日の午後

ガッキーさん。メンバー全員の希望休を聞いてきました。
リーダー

ガッキー
ありがとうございます。

では提出用にファイルに落とし込む必要があるので、いつものそこのPCで打ち込みをして、終わったら教えてください。

了解です。
リーダー

数分後・・・。

完成しました!
リーダー

ガッキー
確認していきましょうか。

ん~。見ての通り、この日が年次が重なってしまっていて人数が足りないですね。でも逆に人数が多い日もあるので振出・振休で交換ができるメンバーがいるかどうか探してみてください。

21日の午後

聞いてきました!

振出・振休の了解を得られたので、問題は解決ですね。

リーダー

ガッキー
それは良かった!

他チームに迷惑をかけたくないので、自チーム内で調整ができて良かったです。

あとは私がスケジュール登録をしておきますので。ありがとうございました。

22日の午前中

翌日。

私はスケジュール登録をしているととある異変に気付き、リーダーに電話で確認をしました。

ガッキー
もしもし。リーダー?

○○さんなのですが、本来は日曜日は出勤のはずなのに、提出してもらったファイルでは指定休になっているんです。これは打ち間違いでしょうか?

ちょっと確認をしますね。

・・・。あ、その日は欠勤だそうです。

リーダー

ガッキー
欠勤!?

はい。あの~・・・。

先月ガッキーさんがメンバー全員の年次残日数の表を共有してくださって、年次を使っていない人には取得の推奨をして、残日数が少ない人には計画的に使用するように伝えるよう、指示を受けましたよね。もちろん○○さんにも伝えました。

○○さんは残りが2日しかなかったので、年次はいざという時のためにとっておいて「今回は欠勤で良いから休みたい」とのことでした。

リーダー

ガッキー
なるほど・・・。分かりました。今日は○○さんはいないですよね。ちょっと帰りにお話しをしましょう。

22日の午後

ガッキーさん、現場はOKです。
リーダー

現場作業を終えたリーダーは疲れた顔で私のところに来ました。

ガッキー
○○さんの欠勤について朝に電話で確認した時、○○さんは「欠勤で良いから」と言っていたと聞きましたが、事実ですか?

はい。

それと、先日○○さんに残日数を伝えて、これから計画的に使用するように注意をした時に、「年次がなくなってしまったら仕方ないから欠勤にするしかないよね」とも言っていまして・・・。

リーダー

ガッキー
その考えはちょっと危険ですね。

もちろん年次も無限にあるわけではないですから、いつかはなくなってしまう。でも休みたい時が出てきてしまう。仕方のないことです。それは仕方のないことですが、だからと言って簡単に欠勤の答えに行き着くのはダメですね。それが当たり前のようになってしまっては、雇う側としてはコントロールができなくなってしまいますから。

なるほど。
リーダー

ガッキー
シフトを見ると、おそらく○○さんはここで3連休がほしいんでしょうね。

はい。学校の行事があると言っていました。
リーダー

ガッキー
うちの会社のシフトのルールで考えると、基本的に会社を休む時は年次を使用するか、振出・振休で勤務日を交代するかの2択です。もちろんその両方ができない時は欠勤扱いにするしかないのですが・・・。

仮にこの日を振休として、その前後で振出をつくろうとすると・・・。

あ~。5連勤になりますね。以前も○○さんは「5連勤は厳しい」と言っていました。主婦ですし、体力が持たないと言っていました。

どうしましょうか。
リーダー

ガッキー
事情はなんとなく分かりました。

年次を使う場面だけど残日数が少ないので取っておきたい。振出・振休のルールも5連勤になるので避けたい。だから欠勤にする。

OKです。もちろん私も欠勤を絶対に許さないわけではないですし、プライベートを大切にしてほしいですから、許可します。最初から許可するつもりでしたが。

ただ、リーダーの話を聞くと欠勤に対する考え方が少し甘い気がするので、そこは伝えなければいけません。

それからリーダーも、「欠勤で」と言われた時には、今私たちがしたような会話を現場レベルでしなければいけませんよ。簡単に「はい。」で受け取ってはいけません。また、もっと大事なことは、私にシフトを提出する時点で相談しなければいけません。

確かにそうですね。私が甘かったです。
リーダー

ガッキー
これから気を付ければ大丈夫です。

とりあえず明日、○○さんへは今のような話をリーダーがしてください。

○○さんはちょっと気が強いですけど、リーダーから言えますか?

はい。言えます。分かりました。
リーダー

リーダーはちょっと不安そうに答えた。

23日の朝礼の後

では本日もよろしくお願いいたしまーす!!
リーダー

いつものように朝礼を終えて散り散りになるメンバーたち。

ガッキーさん、ちょっと良いですか?
部下
ガッキー
はい。どうしました?

声をかけてきたのは欠勤を希望していた○○さんでした。

神妙そうな面持ちで私の顔を見ていた。

今朝、リーダーから欠勤のことについてお話があったんですが、どうも納得がいかなくて。
部下
ガッキー
どんなことを言われたんですか?
リーダーには今回の欠勤を認めるとは言われたのですが、「ガッキーさんが欠勤の場合はこれからは早めに相談してと言っていた」と言われたんです。
部下
ガッキー
そうですね。早めにいただきたいのは事実ですね。
私は15日の時点で分かっていたのでリーダーに伝えたんですよ。それを早めにって言われても、どうすれば良いんですか!?
部下
ガッキー
なるほど。誤解を解かせてもらいたいのですが、私は今回の件で「欠勤の場合は早めに相談がほしい」とリーダーには言っていません。確かに私が気づいたのは遅かったですが、○○さんがギリギリになって依頼をしたとは思っていませんよ。
ガッキーさんはそんなこと言っていないのですね。それならまず良かったですが、リーダーの物事の伝え方には疑問があります。
部下
ガッキー
それはごめんなさい。私がリーダーに丁寧に説明できていなかったからです。

今回、○○さんが欠勤の相談に至った経緯、事情も分かりますし、私もそれをダメと言うつもりもありません。

ただし、『年次がなくなったら欠勤』ということが当たり前になってはいけないので、そこだけ確認というか、お願いをしたかったんです。

今年は入社1年目で付与される年次の数も少なくて難しかったでしょうけど、来年はもう少し増えますし、これから計画的に使用できるようにしていきましょう。

はい。分かりました。
部下

24日の朝礼後

では本日もよろしくお願いいたしまーす!!
リーダー

いつものように朝礼を終えて散り散りになるメンバーたち。

ガッキーさん、ちょっと良いですか。先日の欠勤の件で。
部下
ガッキー
はい。どうしました?

リーダーもちょっと来てください。

声をかけてきたのはまたしても○○さん。

直感で、今回はリーダーも含めて3人で話した方が良いと思い、リーダーも呼び止めました。

はい!
リーダー

昨日の会話について、家に帰って少しモヤモヤしていて、引っかかったのがガッキーさんの「当たり前と思わないで」の言葉なんです。
部下
ガッキー
というと?
私は欠勤が当たり前とは思っていません。
部下
ガッキー
なるほど。
ガッキーさんの言い方は、ガッキーさんから見て私が、いつも欠勤するような人に見えているというように感じました。

私は仕事は仕事、プライベートはプライベート。きっちりケジメをつけてやっています。仕事を甘く見たことは今までありません。

ちょっと・・・、泣きたくなってきました。

部下

○○さんの目には涙が。

自分の感情を押し殺しているような。

悔しさを我慢するような涙でした。

ガッキー
なるほど。

辛い思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。

私は深々と頭を下げた。

学校の行事はたくさんあって、行きたくても仕事で行けない行事もあって、でも今回はどうしても参加したくて。そんな時に欠勤が当たり前と思っていると思われてしまうなら、欠勤がダメだと言うのなら、私はこの仕事を辞めようと思いました。
部下
ガッキー
改めて、辛い思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。

正直にお話しすると、先日リーダーが残日数を伝えた時に○○さんが「年次がなくなってしまったら仕方ないから欠勤にするしかないよね」と言っていたと聞いて心配になりました。もしかしたら○○さんの頭の中で、欠勤にすることができることが当たり前になってしまっているのではないかと。

言葉の表現の難しさだと思います。

今は私もできるだけリーダーに色々な仕事をお願いしていますから、○○さんはリーダーに言う。リーダーは私に言う。その時に伝言ゲームになってしまって、言葉の表現が変わってしまったのだと思います。

私はそんなつもりで言ったんじゃないです。当たり前なんて思っていません。
部下
ガッキー
○○さんの思いは分かりました。

私とリーダーのコミュニケーション、私の言葉の受け取り方に問題があり、誤解してしまったことは謝ります。

申し訳ありませんでした。

はい。
部下
ガッキー
誤解を解いたうえでお話しさせてもらうと、私は今回の件で、今回のように相談がないまま欠勤を簡単に認めてしまっては、今後、○○さんが欠勤にすることが当たり前になってしまう可能性があると思いました。これは可能性のお話です。仮に○○さんでなくても、同じことを言ったと思いますし、先ほどのような誤解がなくても同じことは言ったと思います。

「当たり前にならないようにだけお願いします」や「計画的に年次は取得してください」とね。

なぜかと言うと、Mgrとして私は認めますが、周りのメンバーがそれを認めるかは別です。このチームはみんな理解のある人で、○○さんが育児を頑張っていることもみなさん知っています。だから暖かくフォローしてくれています。でも事実として、他のチームはこんな暖かい人ばかりではありません。だから、仕方なく欠勤をお願いする時には、リーダーにも、Mgrの私にも、周りのメンバーにも、相談して、納得してもらって、『欠勤が良いことではないことは分かっているけど・・・ごめんなさい』というような思いを示していかなければいけません。

私はMgrとして、それが○○さんにとって当たり前にならないように、チームとして当たり前にならないように、伝えることは伝えなければいけません。

分かりました。
部下
ガッキー
ただ、○○さんに辛い思いをさせてしまったことには変わりはありません。

申し訳ありませんでした。

はい。
部下
ガッキー
言葉の表現は本当に難しいですから、これからはこういった大事なことはできるだけ3人でお話しするようにします。

それから、リーダーも、私も、○○さんも人間ですから、本当に自分が伝えたかったことが一言で伝わるとは思わないようにしましょう。今回のように誤解が生じたら、こうやって話し合いましょう。

私からも。

申し訳ありませんでした。

リーダー

はい。
部下

伝えるべき言葉を心の中から選ぶ力

私はリーダーの「○○さんが、年次がなくなってしまったら仕方ないから欠勤にするしかないよね。と言っていました」という言葉を聞いて、正直、○○さんは『欠勤が本来はいけないこと』という認識が薄いと感じました。甘いと思いました。これは事実です。

しかし、もしも○○さんがリーダーにこう言ったとしたらどうでしょうか。

「リーダー。相談なのですが、年次がなくなってしまいそうで・・・。でも休みたいのですが、欠勤は良くないですよね。」

もしもこう言ったのであれば、リーダーは私に「○○さんが、欠勤はダメですよね・・・と悩んでいました。」と伝えたかもしれません。

もしもリーダーが○○さんにこう言ったとしたらどうでしょうか・・・。

もしも私が○○さんにこう言ったら・・・。

もしも・・・。

あの言葉を伝えていたら。

あの思いまで言葉にしていたら。

あの表現ではなくこの表現を選んでいたら。

自分の心が傷ついて、誰かの心を傷つけて、言葉のやり取りを思い出して、反省して、そんな経験が私たちを成長させてくれます。

相手の心を傷つけない方法なんてありません。

相手の心に傷をつけたくないのなら、言葉を使わないことしか方法はありません。

相手の心に傷をつけてしまう回数を減らす方法はあります。

経験から学び、気づきを得ること。

日常的に、意識的に言葉を選ぶこと。

  • この記事を書いた人

ガッキー

リーダーシップ / マネジメント / チームづくり / 人材育成について、実体験を交えながらTwitterとブログ、時々YouTubeで発信。 店舗Mgr ⇒ トレーナー(本部) ⇒ 物流センター輸送Mgr(オペレーション兼任)

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