メインコンテンツ 人材育成

コンセンサス・ゲーム【チームビルディングに必須のゲーム型研修】

『コミュニケーション』

日常でも仕事でもよく耳にする言葉だと思いますが、改まって「コミュニケーションとは何か説明して」と言われたら、ほとんどの人は言葉に詰まるのではないでしょうか。

コミュニケーションは、『話す』・『聴く』・『書く』などの技術を、時に表情や身振り手振りなどを交えながら駆使して、相手と意思疎通を図る行為です。特に『話す』と『聴く』はコミュニケーションにおいては使用割合が多く、私たちは自分の思いや考えを『話して』、相手の思いや考えを『聴いて』、お互いに支え合いながら、協力しながら生きていく生き物です。

さて本日は『コミュニケーションスキルを鍛える』というテーマで、コミュニケーションの難しさと大切さ、相手に自分の思いや考えを伝えるコツ、この2つを学ぶことができるゲームを2つ紹介したいと思います。

コンセンサス・ゲーム

まず1つ目に紹介するゲームは『コンセンサス・ゲーム』。別名『NASAゲーム』です。

コンセンサスとは?

意見の一致・合意

今からゲームの内容を細かく紹介していきますが、メインになるのはグループディスカッションです。与えられたお題に対して、個人の意見を持ち寄ってグループで集まり、議論を通してグループで1つの答えを導き出してもらいます。この時にカギになるのが『意見の一致・合意』です。

それではさっそくゲームの内容を紹介していきます。

step
0
人数・時間など

この研修はグループディスカッションがありますので、最低でも人数は3人は必要になります。また、グループ同士のスコアバトルにすると研修がかなり盛り上がるので、3人~4人一組のグループが2つ、3つとあると最高です。

時間についてはこの後説明する『個人で考える時間』や『グループディスカッション』の時間を短くしてある程度コントロールができますが、最低でも70分は必要かと思います。

step
1
シチュエーションの説明(3分)

シチュエーション

あなた方は宇宙船に乗って月面に着陸しようとしている宇宙飛行士。
月面では母船が待っているのですが、トラブルで母船から約200マイル(約320km)離れた所に不時着してしまいました。

不時着時の衝撃で宇宙船はほとんど壊れ使用不能となりましたが、次の15アイテムは破損を免れて完全なまま残っていました。

「重要なアイテムが何かを冷静に判断するためにもまずは各自で考えよう。最後は全員で話し合おう。」

母船に無事に辿り着くために、15アイテムの中で必要なものから重要度の高い順に1番から15番までの順位をつけなさい。

シチュエーションはこうです。

参加者がこの状態を明確にイメージできるように、講師はシリアスな雰囲気で読み上げ、読み終わったらこの段階で一旦質問を受け付けましょう。また、注意点として、先ほど触れたコンセンサスの意味については、この段階ではまだ研修参加者には言わないでおいてください。研修の最後に意味を解説します。

答えづらい質問が出てくることがしばしばありますが、この研修のポイントは「宇宙空間においてこの15アイテムを重要度の高い順番にすること」ですので、そこさえブレなければ問題ないです。(320㎞をイメージし易く100㎞にしても良い)

step
2
15アイテムの紹介(2分)

15アイテム

・マッチの入った箱
・宇宙食
・ナイロン製ロープ(15m)
・落下傘の布(パラシュート)
・ソーラー発電の携帯用暖房器
・45口径ピストル(2丁)
・粉ミルク(1箱)
・酸素ボンベ45kg(2本)
・月からみた星座表
・救命いかだ(救命ボート)
・磁石コンパス
・水(19リットル)
・信号用照明弾
・注射器入りの救急箱
・ソーラー発電式FM送受信機

実際の研修ではイメージし易いように画像も映してください。

この段階でも質問を受け付けますが、答えづらい質問は上手くスルーしてください。

(例)これを全部持っていくんですか?
  ⇒持って歩ける想定でお願いします。

step
3
個人で考える(15分)

シチュエーションで「重要なアイテムが何かを冷静に判断するために」と語っていた通り、まずは個人で重要度を考え、優先順位をつけていってもらいます。①が最も優先度の高いアイテムで、⑮が最も低いアイテムとなります。

この時に参加者にはこのようなシートを配付してください。

15分時間をとって、左側の『個人』の欄に自分が思う優先順位を、『理由』の欄にそれを選んだ理由を記入してもらいます。

ここで大事になるのが『理由』です。次のステップのグループディスカッションの時に重要になりますので、この段階で「私は○○○○という理由で○○○○を〇位に選んだ」としっかりと言えるように促しておきます。「何となく選んだ」では議論にならないので注意しましょう。

またこの段階で、この問題には『NASAの、科学的根拠に基づいた模範解答があること』を全体へ伝えておいてください。「答え合わせができる問題ならば一所懸命考えて高得点を狙おう」と、積極的にゲームに参加してくれる人が増えるはずです。

step
4
グループディスカッション(30分)

シチュエーション通り、「最後は全員で」話し合います。

ディスカッションが始まる前に、グループ内で1人書記を決めます。書記を任された人はシートの右側の『グループ』の欄と『理由』の欄にグループで議論した結果を記入します。

超重要ポイント

グループディスカッション中、講師は一休みしたくなる気持ちを抑えて、議論を取りまとめている人が誰なのか、うまく参加できていない人はいるか、どのような言葉を使っているかなど、細かく観察してメモを取っておいてください。

step
5
議論した結果の発表(5分)

チームの代表者(書記と同じ人がおススメ)に発表をしてもらいます。

(例)「1位は○○○○です。理由は○○○○だからです。」

チームが複数ある場合は、各チームが発表した順位をホワイトボードなどに書き出して、全チームが見えるように工夫することをおススメします。

ここでは「え!?そっちのチームはそれを1位にしたの!?」などのようにかなり盛り上がります。講師も「おお~そうきたか!」などのように場を盛り上げてください。

step
6
答え合わせ(5分)

全員に答え合わせ用の解答シートを配付します。

※後で順番に発表をしてもらうので、スコアが計算できてもまだ口にしないように念押しをしておいてください。

シートの『解答欄』にNASAの模範解答の順位を記入し、自分で考えた順位との差を『差』の欄に記入し、合計を出します。(マイナスはありません)

(例)マッチの入った箱 自分③ NASA⑤ 差②
        宇宙食 自分⑤ NASA③ 差②

※書記だった人だけで良いのでチームの計算をしてもらいます。

step
スコアの発表(5分)

各個人のスコア、グループのスコアが出揃ったら発表に進みます。

最優秀:0〜25点

優秀:26〜32点

良:33〜45点

可:46〜55点

不可:56〜70点

ここが研修で1番盛り上がります。

まずは個人のスコアを順番に発表をしてもらい、最後にグループのスコアの発表してもらいます。

1位の人に全員で拍手をして表彰し、コメントをもらったり、ちょっとした景品をあげたり、グループ順位についても表彰をして一人ひとりコメントをもらったり、講師のオリジナルで盛り上がる要素を組み込んでみると良いでしょう。

step
8
まとめ(10分)

ここまでくると研修室の緊張もかなり解け、むしろ熱が溜まっていることと思いますが、最後はしっかりと締めくくりましょう。

まとめ

  • コンセンサスの意味
  • チームで話し合うことのメリット
  • 合意形成の難しさ
  • 総評

コンセンサスの意味

まとめの最初に、このゲームの名前の意味・どんなねらい(ゲームを通してどんなことを体感してほしかったのか)があったのかを説明します。

チームで話し合うことのメリット

不思議なことに、個人で考えた時よりもチームで考えた時の方が、スコアが上がる結果になっている人がほとんどになります。(私の経験上は8割)

ここには宇宙空間に関するプロはいないはず。つまりここにいる全員は、断片的にしか宇宙空間に関する知識がないのです。それぞれが持っている知識、考えが集結することで、チームとして生存率は上がります。これがチームで話し合うことのメリットです。

合意形成の難しさ

意見の違いが生まれることは日常生活でも、仕事というフィールドでも頻繁です。自分の思い・意見をしっかりと伝えることも必要。相手の思い・意見を尊重することも必要なのです。どちらも大切にしながらバランスを取って議論を進めることの難しさを学ぶことができたはずです。

総評

グループディスカッションの時にメモをしておいた内容を総評として伝えていきます。

 

(例)

・○○さんはリーダーシップを発揮して議論の中心になっていました。

・途中議論が行き詰って多数決で決まったアイテムがありましたが、そのアイテムが大きくスコアを下げる要因になりました。しっかりと意見をぶつけ合っていればスコアが上がったかもしれません。

・○○さんは個人のスコアの方が高い結果でした。つまり、グループディスカッションでもっと自分の主張ができていれば良かったかもしれません。

・○○さんは途中冗談を言って場を和ませていましたね。

・○○さんは議論が行き詰った時、「じゃあ1位からではなく15位から話そう」と方向転換を提案していました。時間がない中では正しい選択だったと思います。

NASAゲームはグループで話し合った時の方が個人で考えた時よりもスコアが上がる。ゲームとはいえ、1人で考えるよりもチームで考えることの方が大事だということを証明してくれます。チームをトップダウンの指示命令で支配してしまっているようなリーダーに対してや、普段からチームMTGなどの話し合いの場を設けられていないチームに対して、非常に多くの気づきを与えられる(体感してもらえる)ゲームです。ただしこのゲームは基本的には、コミュニケーションを通しての合意形成の難しさとメリットを学ぶだけ。つまり、ここから更にもう一歩踏み込んで、相手に自分の意見を正確に伝える研修などを組み合わせることができれば、1度の研修で成長が倍になります。

伝える力ゲーム

2つ目に紹介する『伝える力ゲーム』は、NASAゲームと違って短時間で学びのある内容です。

ゲームは至って簡単で、1人が情報を伝える側となり、残りの人が受け取る側になります。伝える情報はいくつかの図形が組み合わさっている絵で、伝える側は1分間でどう伝えるかを考え、3分間でメンバーに説明します。

ゲームの注意点としては、①身振り手振りは使用してはいけないこと、②受け取る側から質問はしないこと、の2つです。

どんな結果になるか

ほとんどの人が図形の大きさが異なる結果になり、配布した用紙一杯いっぱいにはみ出すくらいに描く人、真ん中に小さく描く人、2つに分かれます。また、図形同士が離れてしまっていたり、稀に左右上下が逆になる人もいます。

なぜそのような結果になるか

ゲームが終わったら、全員の描いた用紙を見せ合いながら、なぜ上手く伝わらなかったかを簡単に話し合います。(指名して聞いていく)

冷静になって考えてみると、伝える側からも、受け取る側からも、きっとたくさんの気づきが出てくるでしょう。この流れでまとめに入っていきます。

まとめ

まず1つ目のポイントが『大枠から話すこと』です。

受け取る側は、配付された用紙にどのような図形が何個描かれるのかが最初に分からないと、一個目から大きく描きすぎてしまったり、1個目が書くことすらできずにペンが止まる優柔不断な人もいます。まずは「今から円を3つ。四角形を1つ。ひし形を1つ。三角形を2つ描きます。」などのように、全体を説明できると良いです。

2つ目のポイントは『具体的に話すこと』です。

これから描く図形の形や数が分かっても、具体的な大きさや、繋がっているのかなどまでは分かりません。「まずは用紙の中心に直径6㎝の円を描いてください(四角形の場合は「一辺が6㎝」)」などのように、どこに、どれくらいの大きさの、どんな図形を描くのかを説明できると良いです。また、図形同士が離れてしまわないように、隣り合っていること、それぞれの図形の辺同士がピッタリくっ付いていることまで説明できると良いです。

3つ目のポイントは『自信を持って話すこと』です。

当たり前の話ではあるのですが、オドオドと自信がなさそうに話している人の話って、全然頭に入ってこないです。伝える側が図形の伝え方を確認する時間を1分間にしている理由は、日頃のコミュニケーションにおいても、じっくり考えて話す機会が少ないことを想定してのことです。

4つ目のポイントは『スピード・ボリューム・トーン』です。

話すスピードは早すぎないか、声はしっかりと相手に届いているか、聞きりやすいように声のトーンを普段よりも上げて話せているか。上記3つのポイントができていても、この3つのコントロールができていなければ伝わっていないのと同じことになってしまいます。

伝える力ゲームは『話すこと(伝えること)』に特化したゲームなので、『NASAゲームで自分の意見を上手く伝えられなかった人がいる』という前段階があると、研修参加者により良質な学びを与えられるゲームになります。例えば『酸素ボンベ(45㎏×2本)』について議論になった時、1人のメンバーが「月面は地球に比べて重力が6分の1」という素晴らしい知識を持っているのにも関わらず、自分の意見を上手く伝えられず、結果的にチームのスコアを落としてしまうことがあるかもしれません。まずは意見を言えることが重要。そしてそれだけではなく、意見を正確に『伝える力』も必要ですよね。自信がなさそうに「確か6分の1だから…」とボソっと言うのと、「月面の重力は地球に比べて6分の1だから、全然持ち運べる重さだから大丈夫ですよ」と具体的に自信満々に主張できるかは、大きな差です。

ここに書ききれないことがまだまだたくさんあります。まとめの部分は自分なりに工夫して、どんどん例を付け加えていってください。

例えばですが、リーダークラスになると、一般のスタッフたちが普段使わない言葉を使うケースも多くなってくるため、どれだけかみ砕いて説明ができるかがポイントになります。小学1年生に『ひし形』と言っても上手く伝わらないけど『トランプのダイヤマーク』と言えば伝わる確率は上がるはず。それと同じこと。つまり、相手の目線に立って言葉を選ぶということですね! だったり、「できるだけ早く」ではなく「〇月〇日までに」という具体的な表現ができるようになりましょう! のように、実際の業務内容と結び付けて分かりやすい例を出して解説できると、研修参加者は学びを持って帰りやすくなります。

2つのゲームから得られる学び

今回紹介したゲームから得られる学びは、簡単にまとめると下記の3つです。

・合意形成の難しさ
・チームで話し合うことのメリット
・自分の意見を伝える時のコツ

全てに当てはまることは、いかに『相手のことを考えて話せるか』です。

自分の意見を主張するばかりではなくて、相手の意見を尊重しようとする心の態勢。自分が選ぶ言葉が相手にとって受け止めやすい言葉なのか、話すスピードやボリュームは適正なのかなど、自分を客観的に見れる力。この『相手のことを考えて話す』というスキルは、チームとして、お互いに支え合いながら、お互いに成長しながら、楽しく協力して物事を進めていく時に絶対に必要になるスキルです。

今回紹介した2つのゲームを取り入れた研修を、ぜひ企画して実際にやってみてください。リーダーの価値観、チームメンバー一人ひとりの価値観に変化が見え始め、その瞬間から、本当に価値のあるコミュニケーションが少しずつ増えていくはずです。

  • この記事を書いた人

ガッキー

リーダーシップ / マネジメント / チームづくり / 人材育成について、実体験を交えながらTwitterとブログ、時々YouTubeで発信。 店舗Mgr ⇒ トレーナー(本部) ⇒ 物流センター輸送Mgr(オペレーション兼任)

-メインコンテンツ, 人材育成
-, , ,

© 2021 ガッキーBLOG Powered by AFFINGER5