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【第6話】人材育成を仕組化する【伝えて動かす力】

第5話では『無駄の排除』というテーマで、トヨタ生産方式・5Sを研修の内容としました。

【第5話】人材育成を仕組化する【現場で使える知識の習得】

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私の部署は小売業の中の物流事業部なので売上はありません。売上の最大化は基本的には店舗の役割。つまり私たち物流は、1つの商品にかかるコストや輸送コストを下げることが主な役割になります。前回のテーマはまさに物流のコアになる部分でした。

人材育成プロジェクトの研修も早いもので今回で第3回目。今回は『コミュニケーションスキル』というテーマで研修を行いました。

研修テーマを組み立てる

まずは、なぜここにきて研修のテーマを『コミュニケーションスキル』にしたのかを説明しておきます。これまで約2ヵ月間、人材育成プロジェクトのオーナーとして取り組んできましたが、初めからどういった流れで研修を組み立てていくかは決めていました。教えたいことはたくさんあると思いますが、ただむやみやたらに教えていくのでは研修の効果は発揮されづらくなります。やはり大事なのは順序だということですね。

これまでの研修のテーマを振り返っていくと、まず初回の研修テーマは『会社のミッション・カルチャー』でした。これからの研修で得られるたくさんの学びが間違った方向に向いてしまわないようにするため、1番最初にやるべきテーマです。会社の目指す目的地・価値観(仕事をする時の考え方)を明確に指し示し、共通認識にして、土台・基礎を築くことができました。次に第2回目の研修テーマは『無駄の排除』でした。築かれた土台の上に、知識を重ねていきます。物流事業部の社員として何をすべきかや、どういった視点で問題提起をするべきなのかを学びました。ここまでくると研修参加者たちは自分がするべきことが何かが明確に見えてくるはずです。

そして第3回目の研修テーマは『コミュニケーションスキル』です。会社の(組織の)一員として目的地を明確にして、価値観を共通認識にして、コアとなる知識を習得してやるべきことを明確にしても、これまで学んできたことを自分ひとりだけが分かっていても意味がないのです。部下・チームメンバーたちに伝え、動かしていくことができて初めて意味を持ちます。しかし、積極的に自分の知識・アイデアを周りに共有できるリーダーは本当にごく僅か。ほとんどのリーダーは自分ひとりの知識として心に閉まっておくか、上手く共有できずに(伝えられずに)苦しい思いをします。これが現実。これがコミュニケーションスキルも研修のテーマに入れるべき理由です。

第3回目の研修は今後の方向性を左右する大事な大事な分岐点です。今回の研修を通して、自分ひとりではなくチームで前へ進んでいくことの大切さを学び、伝えることの難しさを学び、伝えるテクニックを学ぶことができれば、これまで研修で得られた学び、これから得る学びは、研修に参加したリーダーから研修に参加していないチームメンバーに伝染していくことで、2倍、3倍、10倍と広がっていくことになるのです。

コミュニケーションをゲームで学ぶ

さて本日の本題に入っていきますが、研修の内容はこちらの記事で紹介した『コンセンサス・ゲーム』と『伝える力ゲーム』です。まずはこの記事を読んでみてください。本当に興味深いゲームですよ。ゲーム形式なので楽しめるし、価値あるコミュニケーションを2時間でギッチリ学習できます。

コンセンサス・ゲーム【チームビルディングに必須のゲーム型研修】

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NASAゲーム 研修風景

研修はグループAとグループBの2つのグループがあり、どちらも3人の本社員が参加します。(日程は別) グループAについては本社員3人のチームだけではなく、研修にオブザーバーとして参加してくださっていたセンター長と副センター長2人のチーム、合計2チームでスコアを争ってもらいました。グループBについてはたまたまその日の商品量(作業)が少なかったので、本社員3人に加えて一般スタッフ1名にも参加してもらい、計4人の1チームで実施しました。

結果はゲームに参加した9人中6人が、個人のスコアよりもチームのスコアの方が高くなり、ねらい通りの結果となりました。

伝える力ゲーム 研修風景

こちらもねらい通り、情報を受け取る側が描いた図形がバラバラに離れていたり、左右が逆になってしまったり。伝える側では、ただの『円形』を難しいフレーズで『バルーン』と表現してしまったり、最初は『半径〇㎝』と言っていたのに次は『直径〇㎝』と言ってしまったり、どう伝えれば良いか考えすぎて時間が大幅にオーバーしてしまったりしました。

ここで完璧に伝えられる人がいると講師側は困るので、こういうった形で上手くいかなかったことにホッとしました。笑

どちらのゲームもみんな積極的に参加をしてくれて、盛り上がり、それでいてしっかりとコミュニケーションの重要性を身をもって体感でき、参加者からも「非常に有意義だった」と感想をいただくことができました。講師を担当した私としても、『大成功』という感想です。

相手の状態を察する力

『コミュニケーションスキル』とは一言では言い表せないスキルです。その中の1つ。まずは『相手の状態を察する力』です。

「世間話をたくさんできることがコミュニケーションスキルだ」と勘違いしている人。みなさんの周りにもいるのではないでしょうか。

例えば退勤スキャンをした後のコミュニケーション。とあるチームのMgrは、部下たちが帰る時間を見計らって必ず事務所にいるようにしていて、退勤スキャンをする部下たちを捕まえては長々と世間話を始めます。もちろんその会話が癒しになる人もいます。しかし、早く帰りたい人(言い出せない人)もいますよね。またそのMgrは私の隣の席なのですが、私がPC画面に向かって一所懸命にメールを作成している時に、「ねえねえ聞いて。うちの犬、見て。可愛いでしょ~!」と話しかけてきます。このMgrはよく私に「ガッキーさん、もっとコミュニケーション取りなよ!」や「やっぱりコミュニケーションが大事だよね。」と語っています。

そもそもですが、このMgrの『会話』は、果たしてコミュニケーションと呼べるものでしょうか。

その答えですが、自分都合の一方的な言葉の伝達はコミュニケーションと呼びません。自分も相手も会話ができる状態であることが、コミュニケーションを図るうえでの最低条件ということです。世間話をたくさんできることは悪いことではありませんが、決してコミュニケーションスキルとは呼べませんのでみなさんも注意しましょう。

この理由からまず1つ。『相手の状態を察する力』は立派なコミュニケーションスキルと言えます。もっとシンプルな言葉を使うなら『相手のことを考えよう』ということですね。

伝えて動かす力

2つ目は『伝えて動かす力』です。

「的確な指示・命令を出せることがコミュニケーションスキルだ」と勘違いしている人。最近は減ってきていると思いますが、みなさんの周りにもいるのではないでしょうか。(ちなみに過去の私です)

仕事でもプライベートでもどちらでも言えることですが、私たちは自分ひとりでは仕事はできない(生きていけない)。つまり何が言いたいかと言うと、私たちの生活には『相手に自分の望む何かをしてほしい』ことが溢れているということです。研修を受けた本社員たちは研修で習ったことを部下たちに伝えて、「こうなってほしい」や「こうしてほしい」と望むはずです。

シンプルな例を出しますが、A地点からB地点に物を運ぶとして、B地点からA地点に戻る時に手ぶらになってしまっては動作(歩く距離・時間)がモッタイナイですよね。

この時にリーダーが『指示・命令』をして部下を動かすのか、『伝えて』動かすのかがポイントになります。

指示・命令

その荷物を持っていったら、戻り足でアレを持ってきて。

伝えて動かす

その荷物を持っていったら、戻り足でアレを持ってきて。

思い出してほしいんだけど、こういった小さな無駄を少しでも減らして、お客様にできる限り安く商品を届けることが私たちの役割だよね。きっと同じ様な無駄が他にもたくさん潜んでいるはずだから、探しながら作業していこう。

極端な例、極端な言い方になっていますが、リーダーが『相手に望むこと』はどちらも、『その荷物を持っていったら、戻り足でアレを持ってきて』です。『指示・命令』と『伝えて動かす』ことにはこれだけ大きな差があります。

また、もう1つ例を挙げるとすれば、今回の研修も全く同じことです。私は今回の研修で、参加した本社員のみなさんに『チームで考えることの重要性』であったり、『チームで考えることの難しさ』であったり、『伝え方のコツ』を伝えたかった。つまり、研修講師の私にも『伝えて動かす』技術が必要なわけです。では仮に私が本社員に対して「自分ひとりで考えるよりもチームで考えた方が良い結果になります」と、パワーポイントのスライドを見せながら言ったとして、果たして彼らの心は動くと思いますか?私は動くとは思えません。

まとめると『伝えて動かす』というコミュニケーションスキルは、相手が、『受け取った言葉』を、自らの心のフィルターに通して、自らの判断として行動に移すように仕向ける伝え方のスキルです。分かりやすく言い換えるなら、『主体性』を持ってもらうような伝え方をしようということです。もっともっと分かりやすく言い換えるなら、私たちが持つべき視点は、相手の『身体の動き』ではなく、相手の『心の動き』だということです。

研修後のサポート

研修を終えてすぐにコミュニケーションが上達することは絶対にあり得ません。ここから学んだことを日々意識して実践し続けることで、本当の意味で成長が見られます。できれば学習の5段階レベルを用いて『意識することの意味・重要性』まで説明ができれば良かったと、少し後悔しています。今後の課題ですね。

研修参加者の中には「これまでやってこなかったチームMTGを開催して、みんなで意見交換をしてみたい」という前向きなリーダーもいて、やって良かったな……と安心しました。またそれと同時に、ここからは各Mgrが参加者(部下)たちを日々サポートできるかどうかがカギになるので、この部分もプロジェクトオーナーとしてしっかり確認していこうと思います。

次回は『基礎数値』というテーマで、1時間の研修を予定しています。

ではまた第7話で。

【第7話】人材育成を仕組化する【研修の失敗・そして光】

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  • この記事を書いた人

ガッキー

リーダーシップ / マネジメント / チームづくり / 人材育成について、実体験を交えながらTwitterとブログ、時々YouTubeで発信。 店舗Mgr ⇒ トレーナー(本部) ⇒ 物流センター輸送Mgr(オペレーション兼任)

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