みなさんは自分の部下がミスをした時、どのようなアプローチをしますか?
ただただ『ミスをしたという事実』を伝えるだけでは、それは『指摘』になります。指摘はモチベーションを大きく下げる要因になるので、『指摘にならないような伝え方』が大切になります。
本日はとある日の私と上司のコミュニケーションを例に挙げながら、ミスをした部下に対するアプローチ方法について、一緒に考えていきましょう。
事実を伝えるだけの『指摘』の例
とある日の朝、会社に出勤してメールを開くと、センター長からこんなメールが届いていました。
ガッキーさんお疲れ様です。これまで本部から催促されることはなかったですよ。ガッキーさんが担当になってから2回目です。みなさんに迷惑になるのでしっかりやってください。
結論から言えば、私は本部への報告業務を後回しにしていました。間違いありません。
後回しにしていた理由は、
・月末は末締め業務があり多忙だった
・作業のMgrとして全員と個人面談をしていた
・数値データが乏しかったので分析用のグラフを作成していた
・深夜巡回でほぼ現場にいた
それにプラスして指定休が重なり、遅れが生じていました。
この遅れた分は今日やろうと決めていましたが、私が指定休中に本部からセンター長に催促のメールが入り、指摘メールを私に送ったという経緯です。
理由はどうであれ、遅れたという事実に対しては自分の責任として反省しました。
ただの指摘にならないために
冒頭の内容の繰り返しになりますが、ただただ『ミスをしたという事実』を伝えるだけではそれは『指摘』になり、指摘はモチベーションを大きく下げる要因になるので、『指摘にならないような伝え方』が大切になります。本日の記事のメインの部分はここなのですが、センター長からのメールはまさに『指摘』でした。
では、相手のモチベーションを下げる『指摘』にならないようにするためにはどうすれば良いのか。その答えは簡単です。
ただの指摘にならないためには?
部下のミスに『寄り添う』こと。
『寄り添う』とは具体的に言うと、ミスした原因が自分にもあるという考えで言葉を選んだり、ミスした原因を一緒に探してあげたり、今後ミスをしないようにどうすれば良いか一緒に考えてあげたりすることです。寄り添うことで、『事実を伝えること』にプラスして、『前向きさ』を相手に与えることができます。
確かに、ただただ「ミスしたよ。これから同じことが起きないように。」と事実を伝えるだけでも問題解決には繋がります。しかし問題解決よりも大事なことは、部下の心のケアだということです。
指摘の前には必ず事実確認を
ただの『指摘』にならないようにするためのポイントは『寄り添うこと』だということは分かりました。しかし、寄り添うためにはミスをしてしまった『理由』を正確に把握しておく必要があります。今回の一件は確かに私の責任なのですが、ミスをしてしまった原因・理由はちゃんとあります。ミスは起こるべくして起こったことでした。
センター長は本部からメールを受けて、ただその事実を私に伝えただけ(指摘)です。
上司に必要なスキルは、ミスをしてしまった事実を伝えることではなく、まずはミスをしてしまった理由を考えることからです。理由が分かれば『寄り添うこと』ができるようになります。
ミスの理由は?
遅れを生じさせてしまった報告業務は、以前は違う人がやっていました。私は部署内異動をして、この業務を引き継いだばかりだったのです。
その時に前任Mgrは私にこう引き継いでいました。

言葉というのは本当に曖昧さがありますよね。
『多少の遅れ』という曖昧フレーズ。前任にとってはどれだけの期間を『多少』と言っていたのか。今となってはそんなことはどうでも良いですが、私と前任の『多少』には差があったのは事実です。
もちろん、曖昧な言葉を曖昧と分かっていながら受け取ってしまった私に責任がありますが、この事実(理由)を、センター長には指摘する前に知ってほしかったというのが私の本音です。
もしもこの事実をセンター長が知っていれば、もしかしたら、メールの文面はこのように変わっていたかもしれません。
事実を知らない場合
ガッキーさんお疲れ様です。これまで本部から催促されることはなかったですよ。ガッキーさんが担当になってから2回目です。みなさんに迷惑になるのでしっかりやってください。
事実を知っている場合
ガッキーさんお疲れ様です。本部から催促がありました。
○○さん(前任)に聞いたら、曖昧な引き継ぎをしてしまったと言っていました。これからは曖昧な言葉を使わないよう、受け取らないように気を付けてください。
もともとのセンター長の指摘メールの内容が酷すぎるので、かなり良くなったように見えますね・・・。笑
事実を知ってくれていると分かっただけで心のダメージは少なくなり、「これからは気をつけなきゃな」と前向きになれます。
これが『寄り添う』ということです。
上司の役割を整理
指摘をすることは誰にでもできます。
上司の役割は指摘をすることではなく、部下のミスの原因・理由をしっかりと確認して『寄り添う』ことで、部下が今後同じようなミスをしてしまわないようにサポートすることです。
『指摘』と『サポート』
極端な言葉を並べましたが、あなたが部下の立場だったらどちらを望みますか?