質問①:みなさんはどんな時に『癒し』を求めますか?
質問②:みなさんはどんな時に『癒し』を感じますか?
質問③:その癒しを感じる手段は職場にありますか?
本日のテーマは、私が推奨しているサーバントリーダーシップの10の特性の中の1つである『癒し』です。
リーダーはどうすればチームメンバーに、部下に、癒しを与えることができるのでしょうか。
本日は私の実体験を交えながら、みなさんにサーバントリーダーシップの特性が活きた癒しのマネジメントの例を紹介します。
サーバントリーダーシップの10の特性
サーバントリーダーシップには『10の特性』があり、これらの特性はリーダーがチーム(部下)を導く際のマネジメントに直結します。
サーバントリーダーシップ 10の特性
- 傾聴
- 共感
- 癒し
- 気づき
- 納得
- 概念化
- 先見力
- 執事役
- 成長への関与
- コミュニティづくり
サーバントリーダーシップ??
これらの特性の中に本日のテーマである『癒し』があるのですが、音楽を聴く、運動をする、お風呂に入るなど、癒しを感じられる手段というのは人によって様々です。しかもそれらの癒しの要素は職場にはほとんど存在していないので、多くの人が難しい特性だと感じるかもしれません。
でも安心してください。
ほんの少しだけ『癒し』に対する視点・考え方を変えるだけで、部下に癒しを与えるために『リーダーとしてどのようなマネジメントをすべきか』が分かるようになります。
癒しを与えるとは?
そもそも『癒しを与える』とはどのような事なのでしょうか。
その答えが知りたければ、冒頭の『質問①:どんな時に癒しを求めるか』を考えてみてください。
例えば仕事でミスをして辛い時、悲しい時、苦しい時など、精神的に落ち込む場合と、単純に連勤や長時間労働で体が疲れている時など、身体的に落ち込む場合の2つのパターンに分かれ、どちらかと言えば精神的に落ち込んでしまう場面の方が多いのではないでしょうか。(※身体的な落ち込みに対する癒しについては、職場という環境でリーダーにできることは極端に少ないので、今回は精神的に落ち込んでいる時に対するアプローチで考えていきます)
つまりどういうことかと言うと、『ストレス』を感じる時に、人は『癒し』を求めるということであり、『癒しを与える』ということは、『ストレスを解消してあげること』だと、完全なイコールではないものの言い換えることができます。
2種類のストレス
癒しを求めるきっかけになる『ストレス』ですが、大きく分けて2種類のストレスがあります。ここで説明することが今後のマネジメントを左右する非常に重要な考え方になります。
まずはこちらのイメージ図を見てみてください。
例えば接客クレームを受けた部下がいたとして、その部下が感じるストレスは2つに分かれます。1つ目は図で言うと右側の『現在』(過去とも捉えられる)に対するストレス。2つ目は左側の『未来』に対するストレスです。

リーダーがいつも笑顔でいること、角のない優しい言葉を使うこと、相手の気持ちに共感すること、寄り添うことなどは、図の右側の『今感じている気持ちへのアプローチ』になり、癒しを与えるために多くのリーダーはこの『現在』へのアプローチを日々心がけていることでしょう。
それはリーダーとしてとても素晴らしい行動だと思います。しかしそのせいでどうしても忘れがちになるのが、2つ目の『未来』へのアプローチなのです。言い方を変えると『不安』へのアプローチです。
ここまで来ると本記事のコアなメッセージが見えてくると思います。『現在に対するストレス』に一所懸命アプローチをして『癒し』を与えるのももちろん大事なことですが、何より大事なことは『未来に対するストレス』を把握して『解消してあげること』です。
リーダーがするべきこと
①部下のストレスを正確に把握する
ストレスを感じている状態というのは、どんなに浅くても心に傷を負っている状態です。必ず部下から何かしらのメッセージが出るはずですから、リーダーは目と耳と心でしっかりとキャッチしましょう。
そして日々のコミュニケーション、個人面談など(サーバントリーダーシップの『傾聴』の特性)を通して、『部下がどのようなことにストレスを感じているのか』を把握することです。これらのストレスは、身近な言葉で表現すれば『要望』や『悩み』という言葉に置き換えられるかもしれません。
②解消方法を一緒に考える
1on1のコミュニケーションでしっかりと相手の言葉・気持ちを引き出して、どのようなアクションを望むのかを聴きだしたら、次は一緒に今後の方向性を決めます。
サーバントリーダーシップの基本中の基本のマインドですが、『自分がどうしたいか』ではなく『部下が何を望むか』でマネジメントを選択していきます。特に今回は相手が心に傷を負っている状態ですから、『相手がこれを望んでいるだろう』で行動を起こしてしまわないように慎重になりましょう。
あとは実行に移すのみです。
重要なことはまず、リーダーは『現在に対するストレス』と『未来に対するストレス』を切り離して考えられるようになること。そして明確になったストレスの解消方法を考え、どのようなマネジメントをするのかを部下目線で考えること。そして実行に移すこと。これが『癒し』に繋がります。
癒しのマネジメントの例
11月度の個人面談で、1人の部下が私に悩みを相談してきました。
私、奇跡的に12月31日(木)が指定休なんです。

私の会社は曜日契約で指定休が決まっています。
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〇〇さんは辛そうな顔をして私に何かを言いたい様子。
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周りのメンバーが〇〇さんと同じように元旦に希望休を入れるかどうかって、○○さんは誰かに聞いたりした?
もしも「私も元旦休みたい!」って人がいたとしたら、話し合いをしてどちらかは諦めなければいけなくなりますよね。それが嫌で。怖くて。
あと、現場リーダーも頼りないですし、ガッキーさんに相談した方が良いと思って。

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分かりました。
そしたら私が中心になって全メンバーに希望をまずは聞いて、調整をしていきましょうか。

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「あの人が〇日に希望を入れたから、違う日にするか・・・」ってなっても良くないから、まずは全員のストレートな希望を聞いて、もしも被ってしまって調整が必要になってしまったら、私が間に入って話し合いで決めましょう。

部下が感じているストレス
・年末年始を家族と一緒に過ごせない
・旦那から休んでほしいと言われている
・人数が少なくなるから休めないのではないか
・周りの人たちの反応が気になって言い出せない
・リーダーは頼れない
これらのストレス(不安)を解消するために、私が○○さんの気持ちや要望をもとに考えたマネジメントは、『1月1日~1月7日のシフトを印刷して一人ひとりに手渡しし、12月10日までに希望を書いてガッキーに提出をしてください』というマネジメントです。
至ってシンプルなマネジメントだと思われるかもしれませんが、実は普段とは全く違います。
普段は毎月15日に来月度のシフト表を全員に渡して、固定休以外で年次を取りたい日などがあれば記入をしてもらっているのですが、今回の年始のスケジューリングは普段よりも2週間ほど早く聞き取りを実施しました。これは○○さんが不安に思っている気持ちを早く解消させてあげたいと私が思ったからであり、○○さんもそれを望んだから(旦那さんに早く結果を伝えたい)です。
次にこの毎月のスケジューリングのオーナー(主導者)です。全員から希望を聞いて、人数が少ない日・多い日などを明確にし、交代をお願いしたい人への声掛け・調整などは、いつもは現場リーダーに全て任せていて、私はアドバイスをするだけです。しかし今回の件は現場リーダーのコミュニケーション力では不安に感じたので(部下の○○さんもリーダーをあまり信用できていない)、私が中心になって取りまとめることにしました。
最後に、普段はただ来月のシフトが書かれている表を渡すだけですが、今回は『年始の希望休を聞き取りします。全員が同じ日を休むことは難しいです。まずはみなさんの希望を確認し、調整が必要な部分があればガッキーが調整します。周りのメンバーのことは気にせず、自分の希望を遠慮せず書いて提出してください。』と明記して、一人ひとりに口頭でも丁寧に趣旨を説明しながら渡していきました。
これらは全て○○さんの悩み・要望・不安(ストレス)を中心にして考えた、まさにサーバントリーダーシップの特性が輝くマネジメントです。
結果的には、私と○○さんが想像しているよりも周りのメンバーの希望休は少なく、○○さんはもちろん、その他の希望があった人も希望通りに休みを計画することができました。(休みが被ったら他チームとの応援体制やMgrが現場に入って何としても休ませるつもりではいたが・・・。)
調整が必要ないと分かった次の日の朝礼で早速、私は全員に対してフィードバックをしました。
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朝礼が終わってみんながバラけた後、○○さんが私に声をかけてきました。
年末年始の希望休の件、ありがとうございました。
お陰様で周りのみなさんに気を使うことなく希望を伝えることができました。
良かったです。
それと、旦那も子供たちも喜んでました。

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今年は家族でゆっくりしてください。
あ、あと・・・。
2月は子供の学校説明会でまた・・・。

ガッキーのマネジメントは続く。
まとめ
いかがだったでしょうか。
確かに、嫌なことがあって辛い、悲しい、苦しい、怖いなどの『現在のストレス』に対してのアプローチは簡単ではありません。相手の話を聴く『傾聴』のスキル、相手の気持ちに寄り添う『共感』のスキル、相手の気持ちを整理させるための『納得』のスキルなどが必要です。
しかし少し視点を変えてみるともう1つ、『未来に対するストレス』があります。このストレスに対しては、その後のリーダーのマネジメント方法の選択次第で、容易に解消ができるケースが多いです。今回の事例も、部下とのコミュニケーションを通してこれからどのようなマネジメントをするべきかを導き出しました。
『マネジメントの答えは部下が持っている』
少し言い過ぎかもしれませんが、『部下のために尽くす』という価値観でリーダーシップを発揮するサーバントリーダーには必要なマインドです。
ぜひみなさんも、サーバントリーダーシップの特性を活かしたマネジメントを実践してみてください。
あっという間に信頼関係が構築できますよ。