組織でリーダーの立場をしていると、メンバーから相談を受ける機会が多々あると思います。
家庭の事情で会社を辞めたい…。
チームに溶け込めない…。
他のメンバーに不満がある…。
人間の悩み事は全て人間関係の悩みと言われています。その多くが非常にセンシティブな内容で、リーダーは慎重に慎重に動いていかなければいけません。
そんなセンシティブな問題の解決のスタート地点になるのが『事実確認』で、複数人で構成されるチームで起こる様々な問題を客観的に判断して、スムーズに解決するためにリーダーに必須の基礎スキルです。
本日はそんなリーダーに必須のスキルである『事実確認』の、重要性と危険性について解説していきます。
事実確認の重要性
『事実』と似ている言葉として『真実』があります。まずはこの2つの言葉の意味が混同してしまわないように違いを解説しておきましょう。
事実とは
本当にあった事柄、現実に存在する事柄、客観的なもの
真実とは
嘘偽りのないこと、主観的なもの
どちらも同じことのように感じますが、『事実はひとつしかないが真実は人の数だけある』というフレーズがあるように、決定的な違いは『客観的なもの』なのか『主観的なもの』なのかとなります。
相談を受けたらまずは事実確認
相談者が感じたことや思ったことを、リーダーが鵜呑みにしてしまって行動に移るのは危険。つまり相談者の語る真実を事実にしてしまってはいけないということ。ここで事実確認が必要になります。
Aさんの相談がBさんについてのことなのであれば、まずはBさんにヒアリング(聞き取り)をしなければいけません。AさんがBさんについて悩みを抱えているのと同じで、BさんもAさんについて悩みを抱えている可能性は十分あり、Bさんなりの言い分もあることでしょう。Bさんに全くその気はなく、単なるAさんの勘違いかもしれません。また、必要に応じてCさん、Dさん、Eさん、周囲のメンバーにヒアリングをし、客観的な情報を集める必要もあります。
このようにリーダーは特定の個人が感じたことや思ったことを鵜呑みにせず、関係者へのヒアリングを通して事実を確認しましょう。
事実確認の危険性
先ほど『相談を受けたらまずは事実確認』と、事実確認がリーダーがまず真っ先に取るべき行動と解説しましたが、実は大きなリスクも潜んでいます。
それは『事実確認をすることで、相談者がリーダーに相談したということが周囲にバレてしまう』ということです。内容によっては『チクった』や『告げ口した』などのように、ネガティブに捉えられてしまうことも多々あります。
リーダーは相談者が抱える悩み事を解決しようとしてアクションを起こしているのに、そのアクションがかえって火に油を注ぐ行為になってしまうのです。
事実確認は慎重に
事実確認をするかどうかはリーダーの一存で決めるのではなく、相談者とじっくり話して2人で決めるようにしましょう。『自分(リーダー)がどうしたいかではなく相手(相談者)がどうしたいか』です。この答えは相手によって変わります。心の強いメンバーであれば強く解決を望むかもしれませんし、心の弱いメンバーであれば話を聞いてもらうだけで良いと主張するかもしれません。
また、もしも相談者が事実確認と解決を望む場合、もちろん事実確認そのもののやり方にも細心の注意が必要になります。リーダーはあくまでも中立の立場を貫き、先入観を捨てて質問を投げかけ、Aさんから話を聞いた時と同じ方法でヒアリングを実施しましょう。(Aさんと個室で座って15分話したのであれば、Bさんとも個室で座って15分話す)ここで重要になるのは公平性と平等性です。どちらかに偏った事実確認は控えましょう。
実例で解説
最後に私の実体験を紹介します。
私が担当しているチームのメンバーとの2ヵ月に1回の個人面談の際に、入社3ヵ月の派遣スタッフから相談を受けました。
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私は相談者の辛い気持ちに共感を示しました。(共感についての記事は下記URLから)
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共感と同感の違い【リーダーに必要な共感力とは】
続きを見る
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実例はいかがだったでしょうか。
相談を受けた段階では荒川さんの言う通り『勘違い』の可能性もゼロではありませんから、この後解決のために一歩踏み出すにはやはり関係者への事実確認は必須になります。相談者の言っていることはあくまでもひとつの真実であり、事実かどうかは分からないからです。しかし事実確認の危険性でも解説した通り、事実確認のアクションで『相談したことが相手に伝わること』により『チクった』や『告げ口した』などのように捉えられてしまい、むしろ関係性が悪化してしまう可能性も十分あります。だからこそ『自分(リーダー)がどうしたいかではなく相手(相談者)はどうしたいか』で考える必要があるのです。
この考え方は私が推奨するサーバントリーダーシップが基礎になっています。リーダーは自分軸のマネジメントでメンバーを支配するのではなく、相手軸のマネジメントでサポートします。サーバントリーダーシップに少しでも興味がある方は、下記URLから私が運営しているオンラインサロンへ。一緒に学び、成長していきましょう。
