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トップダウンとボトムアップ【マネジメントには緩急を】

みなさんは『トップダウン』と『ボトムアップ』という言葉を聞いたことはありますか?

この2つはチームをマネジメントするうえでは非常に重要になる相反するマネジメントプロセス(方法)なのですが、この2つはどちらが正解・不正解ではなく、使い分けが大事になります。

本日はトップダウンとボトムアップの違いを説明したうえで、マネジメントにおいて『緩急』が必要な理由を私の実体験を交えながら解説していきます。

トップダウンとは

まずはトップダウンについてです。

トップダウンとは

Top ・・・ 上から

Down ・・・ 下へ

Topにはもっと別の表現がありますが、あえて分かりやすく『上』にしました。

組織はシンプルにツリー状になっていて、『一般スタッフとリーダー』や『リーダーとマネージャー』や『マネージャーと店長』や『店長と地区長』や『地区長と本部長』など、必ず上下の関係がありますよね。つまり『上位職から下位職へ』の指示のことです。

メリット

  • 意思決定までのスピードが早い
  • 実行までのスピードが早い
  • 方向転換が簡単
  • マネジメントが楽

デメリット

  • 部下の意見が尊重されない
  • 命令口調になりやすい
  • コミュニケーション(意見交換)がない
  • 納得感を得られない
  • 受け身のスタッフが育つ

トップダウンの1番のメリットは『スピードが早い』ということ。1番のデメリットは『部下の主体性が養われない』ということです。

ボトムアップとは

次にボトムアップについてです。

ボトムアップとは

Bottom ・・・ 下から

Down ・・・ 上に

Bottomにはもっと別の表現がありますが、あえて分かりやすく『下』にしました。

先ほど説明した上下の関係で言えば『下位職から上位職へ』の提案のことです。

メリット

  • 部下の意見を尊重できる
  • コミュニケーション(意見交換)が生まれる
  • 納得感を与えられる
  • より良いアイデアが生まれる可能性がある
  • 主体的に行動できるスタッフが育つ

デメリット

  • 意思決定までのスピードが遅い
  • 実行までのスピードが遅い
  • 方向転換が難しくなる
  • マネジメントが大変

ボトムアップの1番のメリットは『部下の主体性が養われる』ということ。1番のデメリットは『スピードが遅い』ということです。

どちらが正解?

結論から言うと、どちらも正解です。(そもそも正解不正解の話ではありません)

この2つのマネジメント方法は使い分けが重要です。

私は本業でチームのマネジメントをする時はサーバントリーダーシップを発揮していますので、『トップダウン1:9ボトムアップ』ぐらいの割合で使い分けをしています。それぞれにメリットとデメリットがたくさんあるので、リーダーはそれを全て頭に入れながら、チームの状況、自分の状況によって使い分けをしましょう。

実体験で解説

つい先日、現場からこんな意見が出てきました。

ガッキーさん、ちょっと話したい事が。
部下
ガッキー
どうしました?
水分補給の休憩がほしかったのですが、リーダーが「今日は気温もそれほど高くないから」という理由で指示を出してくれなかったんです。
部下

この話は1ヵ月前に遡る。

↓2020年6月↓

ガッキーさん。
ガッキーさんのチームは外での作業なので、これからの夏本番で熱中症にならないように、水分補給の休憩を少し考えておいてください。
センター長
ガッキー
はい。分かりました。
ガッキー
Kさん!
はい。
リーダー

私は現場リーダーのKさんを呼びだして、別室で小ミーティングを開いた。

ガッキー
これから7月、8月と夏本番です。熱中症になってはいけないので、本来の60分の休憩時間以外で水分補給の休憩を組み込んでいく必要があります。
そうですね。現場はかなり暑くなりますからね。
リーダー
ガッキー
ただし、日によってはそこまで気温も上がらず、通常通りの休憩のみで作業できる日もあると思うので、そこはリーダーとしてKさんが判断をして、必要であれば声掛けをして、必要がないと判断すれば作業を続行して大丈夫です。
分かりました。
リーダー

先日のブログでもリーダーのKさんについて触れましたが、私は、そんなリーダーとしての自覚が足りないKさんに、少しでも「自分が現場をコントロールするんだ!」という思いを持ってほしくて、『判断すること』を課題として与えました。

↑2020年6月↑

そんなこんなでKさんに『判断すること』を任せて数日後、部下から不満が出てきたのです。(話は冒頭の内容に戻ります)

水分補給の休憩がほしかったのですが、リーダーが「今日は気温もそれほど高くないから」という理由で指示を出してくれなかったんです。
部下
ガッキー
なるほど・・・。
これは私がKさんに、自分で判断するように言ったからです。
人によって暑さの感じ方は違います。私は暑さにめっぽう弱いですし、今日は気温はそれほど高くありませんでしたが湿度が高かったので汗だくでした。
部下
ガッキー
辛い思いをさせてしまってごめんなさい。
これはKさんの責任ではありません。Kさんに判断を任せた私の責任です。今考えてみれば確かに、チームメンバー一人ひとりの水分補給の判断を個人がするのは難しいですね。Kさん以外の人がやっても判断にズレが生じるはずです。
なんとかしてもらえないでしょうか。
部下
ガッキー
分かりました。
であれば定時での水分補給を義務化して、スケジュールに落とし込んで『個人が判断する』ということをなくしましょうか。

部下の不満にとことん傾聴して、共感して、どうすると解決できると思うか意見を聞いた後、作業に戻ってもらいました。

その時の時間は14:30。

私の定時は17:00。

部下たちの定時は15:30。

私にはやることがまだまだある状態。

今日は定時で帰って嫁と買い物に行く約束をしていました。

そんな中で私の頭の中で浮かんでいた風景は『辛そうな表情をした部下』と『判断がうまくできずに部下から不満を言われて辛そうにしているKさん』だった。

そんな風景を想像しながら私の頭はフル回転をし、今回のマネジメントの優先度が非常に高いと判断をした。しかも今回の件は熱中症、つまり安心安全に関わることだったので尚更だった。

私はすぐにリーダーを呼び出して事の経緯を話し、難しい判断を任せたことを謝り、今後はその日の気温や湿度に関係なく、必ず1時間に1回リーダーが水分補給の号令をかけ、全員が手を止めることに決めた。

その話し合いが終わったのが15:00。チームのメンバーの定時まであと30分だったが、すぐにスケジューラーを作成して見える化し、A3の大きさで印刷をして現場に降り、全員を集めて決定事項を説明した。

集まったみんなはうんうんと頷いて納得してくれている様子で、今回のマネジメントはなんとか成功した。

15:30

定時で帰ろうと必死にPCに向き合っている私のところに、相談してきた部下とは別の部下が私のところにやって来た。

ガッキーさん、ありがとうございました。
部下
ガッキー
いえいえ。
Kさんに難しい判断をさせた私のミスでした。
彼女は暑さが苦手ですから、今回のリーダーの判断にはかなり悩んでいたんです。
部下
ガッキー
そうなんですね。
ガッキーさんのスピード対応はすごかったです。彼女は前職で仕事の悩みを家に持ち帰ってしまって家庭を大切にできなかった過去があって、今は完全に仕事とプライベートを割り切るようにしているんですよね。今回の件も、私たちにとってはそれほど大きな問題ではありませんでしたが、きっと彼女にとっては大きな問題で、ガッキーさんが解決を遅らせていたら、きっと彼女は今日家でずっとモヤモヤして過ごしたと思います。しかも彼女は明日は指定休ですから。なおさら。

ガッキーさん、見事でしたね。

部下

今回の件については、スピード感を持って解決した方が良いと思っていたのは私だけではなかったようだ。

マネジメントには緩急を

いかがだったでしょうか。

記事中でも書きましたが、私はチームのマネジメントをする時はサーバントリーダーシップを発揮していますので、『トップダウン1:9ボトムアップ』ぐらいの割合で使い分けをしています。つまりボトムアップが私にとっての基本のマネジメントスタイルなわけです。しかし今回の実体験のようなシチュエーションでは、意思決定、実行・指示までのスピードを早めた方がチームにとって良いと判断し、リーダーに対しても、全スタッフに対しても、完全に私がひとりで決めたことをトップダウンで指示しました。もしも基本スタンスのボトムアップで意思決定をしていたら、苦しい思いをしてしまった女性の部下のモヤモヤは増え、すぐに解決してくれない私やリーダーに対しての不満も出てきたのではないでしょうか。

本日のテーマは『マネジメントの緩急』でした。私はサーバントリーダーとして、ボトムアッププロセスで、部下の声に傾聴し、考え方を引き出し、意見をぶつけ合い、スピードを落として、一人ひとりの主体性を養うマネジメントを基本としています。しかし時にはスピードを意識して、トップダウンで大胆な意思決定をすることもあります。スピード感のあるトップダウンプロセスも、一人ひとりの主体性を意識したボトムアッププロセスも、『部下のために』という思いがあれば必ずキラキラと輝きを放ちます。

みなさんもトップダウンとボトムアップは上手に使い分けて、チームを導いてあげてください。

最後に。

どんな船でも急激な方向転換やスピードアップに耐えられるということではありませんので、十分注意してください。

『緩急』に耐えられる船と、耐えられない船の違いは、船を造り上げる時に骨組みに『信頼関係』という素材をどれだけ使ったのかです。

ちなみに、その肝となる信頼関係の築き方ですが・・・。

その答えはサーバントリーダーシップです。

サーバントリーダーになることができれば、マネジメントに『緩急』をつけたとしても、簡単には沈まない丈夫な船を造ることができますよ。

  • この記事を書いた人

ガッキー

リーダーシップ / マネジメント / チームづくり / 人材育成について、実体験を交えながらTwitterとブログ、時々YouTubeで発信。 物流部オペレーションMgr ⇐ トレーナー(本部) ⇐ 店舗Mgr

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